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永石 隆二; 山田 禮司; 熊谷 友多; 須郷 由美
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 160, 2008/11
酸化物材料の共存する水溶液,有機溶媒と水溶液の二相系といった互いに混じり合わない非均質系での放射線誘起反応の研究として、平成19年度は水溶液中の金属イオン還元や水素発生の促進に関与する酸化物粉末の放射線誘起の初期過程、並びにアミド系抽出剤の分解の線質効果を明らかにするための研究に着手した。ここで、シリカコロイドを含んだ水溶液中の6価クロムイオンの還元に関する研究では、シリカコロイドと水由来の酸化性ラジカルとの相互作用によって6価クロムの還元が促進することが示唆された。さらに、アルミナ粉末を添加した水溶液からの水素発生に関する研究では、酸化物添加による水素発生の促進作用が酸化物の種類や量だけではなく、酸化物の結晶構造にも依存することを明らかにした。
佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 遠藤 章
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 165, 2008/11
高エネルギー加速器施設、マイナーアクチノイド(MA)を含む核燃料の製造及び再処理工程における放射線安全を確保するために、幅広い範囲の強度・エネルギーを持つ中性子・光子による線量及びエネルギースペクトルを高精度かつ高感度に測定可能な可搬型の次世代放射線モニタDARWIN-Pを開発している。DARWIN-Pの高エネルギー中性子に対する応答特性,新たに開発したスペクトル導出アルゴリズムを用いたエネルギースペクトル測定機能を評価するために、TIARAの60MeV準単色中性子場を用いた照射実験を実施した。その結果、開発したスペクトル導出アルゴリズムを用いた解析により、照射場のエネルギースペクトルを再現できることがわかった。これより、DARWIN-Pを用いることにより、中性子のエネルギースペクトルを短時間で測定できると考えられる。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦; 遠藤 章
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 164, 2008/11
中間エネルギー領域における中性子弾性散乱を測定するため、高効率かつ簡便な中性子検出システムを開発し、性能試験を高崎量子応用研究所TIARAにて行った。開発した中性子検出システムは、直径12.7cm厚さ12.7cmの液体有機シンチレータから成り、弾性散乱イベントとその他のバックグラウンドイベントを弁別するために飛行時間法を応用している。液体有機シンチレータの中性子検出効率は、反跳陽子法に基づく従来の中性子検出システムに比べ10倍ほど大きい。性能試験では、80MeVの陽子ビームをLiターゲットに衝突させ約75MeVの準単色中性子ビームを生成し、直径5cm厚さ5cmの炭素サンプルに入射した。弾性散乱した中性子は、ビーム軸に対して15方向に飛行距離400cmで測定された。こうして得られた75MeV中性子の炭素原子核に対する弾性散乱断面積を、最新の評価済み核データファイルENDF/B VIIの評価値と比較した。実験値は評価値と誤差範囲内で一致しており、本中性子検出システムとデータ解析手法の正当性が実験的に検証された。また、本研究により評価済み核データの精度が保証されていない約100MeV以上のエネルギー領域におけるデータ取得の展望を得た。
深谷 有喜; 橋本 美絵; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 154, 2008/11
荷電粒子が結晶に入射すると、さまざまなエネルギー損失過程が起こる。電子ビームの微小角入射の場合、表面プラズモンが主要なエネルギー損失過程であることが知られている。電子ビームによる表面プラズモンの励起過程は、実験,理論の両面から詳細に調べられている。一方、陽電子によるエネルギー損失過程の研究は、電子ビームを用いた研究に比べると非常に限られている。陽電子では、電荷の符号が正値であるため、微小角入射の場合、全反射を起こす。そのため全反射条件下では、陽電子によるエネルギー損失過程は、電子のものとは異なると考えられる。本研究では、エネルギー分析器を反射高速陽電子回折装置に組み込み、Si(111)-77表面からの全反射回折強度のエネルギー損失スペクトルを測定した。測定したスペクトルにおいて、明瞭な5つの損失ピークとゼロロスピークを観測することができた。観測した損失ピークはそれぞれ約10eV間隔で現れており、シリコンの表面プラズモン励起に対応している。スペクトルの解析から、全反射条件での表面プラズモンの平均励起回数は、2.6回であることがわかった。これは、電子ビームの場合に比べると大きい値であり、全反射回折陽電子ビームが結晶表面で表面プラズモンを多数励起することを意味する。
阿部 浩之; 青根 茂雄*; 内田 裕久*; 大島 武
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 145, 2008/11
水素吸蔵合金の実用材料として使用されるMm系合金(MmNiCoMnAl(Mm=LaCe))の水素吸収特性のさらなる向上を目指し、イオン照射と照射前の表面アルカリ処理が水素吸蔵速度に及ぼす影響について調べた。これまで金属Pdにおいて、イオン照射により表面層に高濃度欠陥を生成させることで水素吸蔵特性が改善されることを明らかにしている。さらに、表面アルカリ処理によりLaNiの初期水素吸蔵速度が向上することも見いだしている。そこで、イオン照射とアルカリ処理との相関に着目し、初期水素吸蔵速度測定を行った結果、アルカリ処理とイオン照射の両方を施したサンプルはイオン照射のみの場合に比べ、水素吸蔵能力が向上することがわかった。
麦林 裕弘*; 有村 従郎*; 内田 敏仁*; 町山 友暁*; 鈴木 義男*; 瀬古 典明; 玉田 正男
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 41, 2008/11
放射線グラフト重合技術により水溶性で鉛が捕集可能なグラフト捕集材の合成を検討した。基材のメチルセルロースに電子線を照射し、グリシジルメタクリレートをグラフトした後、イミノ二酢酸を官能基として付与した。その結果、合成の最適化ではグラフト率が40から60%の時に他のグラフト率の範囲よりも吸着容量が高い結果が得られたものの、商品化するにはコスト高であった。そのため、基材にでんぷんを用い、アクリル酸をグラフトしたところ、鉛に対する吸着性能は3割程度劣るが、費用対効果はメチルセルロースの3倍に改善することができたことで、商品化できる見通しが得られた。
伊藤 直樹*; 間瀬 淳*; 近木 祐一郎*; 瀬古 典明; 玉田 正男; 坂田 栄二*
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 42, 2008/11
ミリ波車載レーダやマイクロ波・ミリ波イメージングシステムの高性能化において、効率の良い小型平面デバイスの開発が不可欠である。アンテナ基板として、低損失材料を使用することが有効であり、その最適のものとしてフッ素樹脂(PTFE)材料の使用を図ってきた。その際に、フッ素基板と導体パターンの付着力が低いという問題があげられた。この問題に関して、フッ素樹脂材料は親水性が低いという性質を持っており、この性質が原因であると考えられた。そこで、PTFEの表面を放射線グラフト処理することで、低損失高周波デバイスの実現を図った。PTFEにアクリル酸をグラフトした後、銅箔の付着を行い、剥離強度の測定を行ったところ、未処理のものと比較して約4倍程度の改善を図ることができた。また、グラフト処理前、後における比誘電率の測定を実施し、大きく変化しないことを確認した。さらに、従来基板及び表面処理品を用いたマイクロストリップ線路による、特性評価を実施し、ロス率が1%以内であったことから、グラフトによる表面処理品が有効であることを確認した。
瀧上 眞知子*; 天田 春代*; 長澤 尚胤; 廣木 章博; 笠井 昇; 吉井 文男; 玉田 正男
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 44, 2008/11
豚尿に含まれるリンの再資源化と排水に含まれるリンの低減を目指して、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた新素材を開発した。CMC単独ではリンを吸着することはできないが、アルミニウム及び鉄イオン等の多価の金属を用いることによりCMCのカルボキシル基間に金属イオンを固定することによりリンを吸着できると考えられる。そこで、CMCに塩化第1鉄[以下、Fe(II)]及び塩化第2鉄[以下、Fe(III)]水溶液を加え、ゲルを調製した。豚尿の分析を行って調製した模擬尿及び豚舎で実際に一次処理した豚尿を使用し、リン酸イオン吸着前後のリン酸イオンの分析を、イオンクロマトグラフ及びICPで測定した。Fe(II)を用いて調製したCMCゲルは模擬尿中及び一次処理済み尿汚水中のリン酸イオンを効率よく吸着した。リン酸イオンの濃度は、模擬尿中で457mg/Lから3mg/Lに、尿汚水で78mg/Lから2mg/L以下に減少した。この値は環境排水基準値8mg/Lを十分に満たす値である。
笠原 崇光*; 瀧上 眞知子*; 長澤 尚胤; Prawitwong, P.*; 玉田 正男; 瀧上 昭治*
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 45, 2008/11
水溶性の高分子量体であるコンニャクマンナン(KM)の水溶液は粘性が高いため、加工性が悪いといった問題点がある。そこでKMの粘度を調整するため、KM粉末をガラスアンプルに入れ、空気中で線照射によって分解した。酸処理により形成するカルボキシメチルセルロース(CMC)ゲルに柔らかさを付与するために、放射線分解したKMをブレンドし、そのゲルの物性評価を行った。ブレンドするKMの分子量は、線照射により11.710から1.010に低下した。低分子量化したKMの2%水溶液にCMC粉末を混合し、高分子濃度10%の水溶液に調整し、1mol/Lの塩酸で酸処理した。KMをブレンドするとヤング率や破壊強度が高くなり、CMC単独ゲルと比較して破壊強度が3倍大きくなることを見いだした。また、ブレンドするKMの分子サイズがCMC分子鎖との絡み合いと酸処理によるCMCゲルの凝集構造形成に関連していることがわかった。
越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 吉田 勝; 前川 康成
no journal, ,
電解質膜に放射線多重架橋構造を付与することで、化学的安定性の向上を目的としている。今回は高エネルギーを局所に付与できるイオンビームを用いて架橋構造を導入して吸収線量の効率化を試みた。スチレンスルホン酸グラフトETFE電解質膜に60C3%過酸化水素水の耐酸化加速試験を行い、重量減少が始まる分解開始時間は未照射膜よりも後架橋膜の方が遅いことがわかった。線照射膜の場合、分解開始時間は、1000kGy照射しても36hだったのに対し、線照射に比べてはるかに低い吸収線量26kGyのOイオン照射膜では47hまで向上した。これはスチレングラフト鎖の架橋が、Oイオン照射によって効果的に付与され、電解質膜の化学的安定性が向上したと結論した。
小野田 忍; 平尾 敏雄; 大島 武; 金子 広久; 佐波 俊哉*
no journal, ,
中性子が誘起するシングルイベント過渡電流は、中性子の「核反応」によって生じる重イオンの「電離」が原因となって引き起こされると考えられている。本研究では、核生成粒子の「電離」による相互作用を模擬するために、中性子がシリコンと核反応することによって生成し得る核種(HeからP:最大十数MeV)の中から炭素,酸素、及び珪素イオンのマイクロビームを利用し、核反応生成粒子が原因となり発生する過渡電流を測定した。その際、イオンの入射角度を0から60度まで変化させることで、角度依存性を調べた。測定の結果、入射角度が大きくなるに伴い、波形が遅延することがわかり、ピーク電流値はわずかに減少し、立上り時間は増加し、立下り時間は減少することがわかった。また、これらのパラメータの増減は、余弦の逆数に比例することが明らかとなった。
山口 真; 田口 光正
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分における廃棄体表面での地下水の線分解の影響を評価するため、地下水中の主要成分である炭酸水素イオン水溶液のヘリウムイオンビーム照射を行った。照射は高崎のTIARAのAVFサイクロトロンを用いヘリウムイオンビームを照射し、生成した過酸化水素濃度を測定した。集積線量の増加に伴い、過酸化水素の濃度は増加したが、増加速度は溶質濃度の増加に伴い減少した。この傾向は均一系の放射線分解反応のモデル計算により再現された。
山田 圭介; 宇野 定則; 千葉 敦也; 横山 彰人; 齋藤 勇一; 石井 保行; 佐藤 隆博; 大久保 猛; 上松 敬; 水橋 清
no journal, ,
TIARA静電加速器において平成19年度に行ったビーム発生及び照射技術の開発の結果を報告する。タンデム加速器では、加速電圧安定度がペレットチェーンの高速回転による高電圧ターミナルの機械的振動に大きく依存していることを突止め、振動を抑えることによって加速電圧安定度を改善できることを明らかにした。また、荷電変換ガスを通常用いられている窒素からヘリウムにすることでクラスターイオンビームの強度を20%高くできることがわかった。シングルエンド加速器では、RFイオン源の高輝度化を目的として、1.7MeV-Hビームのエミッタンスを測定した。その結果、x方向エミッタンスはエミッタンスモニタの測定限界である6 mm mrad (MeV)以下であり、正確なエミッタンスの測定にはモニタの角度分解能の向上が必要であることがわかった。イオン注入装置では、広範囲のイオン種,ビームエネルギー及びビーム強度で使用可能な強度分布モニタの開発のために、21個の小型ファラデーカップを2次元的に配置したマルチファラデーカップを試作し、性能評価を行った。
吉田 健一; 奈良 孝幸; 齋藤 勇一; 横田 渉
no journal, ,
TIARAのAVFサイクロトロンにおけるマイクロビームの迅速な形成と安定供給を実現するために、平成15年より全永久磁石型ECRイオン源(LECR)の開発を行っており、平成19年度にサイクロトロンに接続して制御系を構築した。サイクロトロンでは、通信機能のあるコントローラーで機器ごとに制御し、これを上位計算機のアプリケーションソフトInTouch(Inverse Wonderware, Co.)により操作しているが、現在のInTouchは既に負荷が高く、LECRの制御系を組み込むとシステム全体に悪影響を及ぼす危険性がある。そこで、独立したLECRの制御系が必要となった。今回製作したLECRの制御系は、各機器のインターロックをPLC(Programmable Logic Controller)で構築し、アプリケーションソフトにはInTouchに比べて安価で、プログラム構築が容易なVEE(Agilent Technologies, Ltd.)を使用した。本報告では、本制御系のPLCとVEEのプログラムについて報告する。
佐野 雄一; 駒 義和; 渡部 創
no journal, ,
抽出クロマトグラフィーにおいて使用する吸着材であるTODGA/SiO-P及びR-BTP/SiO-P吸着材を対象に、実用プロセス条件を想定した耐線性を評価した。
志風 義明; 谷村 嘉彦; 三枝 純; 堤 正博; 吉澤 道夫; 原野 英樹*; 松本 哲郎*; 金子 広久
no journal, ,
20MeV以上の中性子エネルギーに関しては、中性子校正場が国内で整備されていない。そこで、原子力機構・高崎量子応用研究所TIARAの数十MeV領域の高エネルギー準単色中性子照射場を利用して、標準校正場の開発を進めている。校正場を開発するうえで、フルエンスを精度よくモニタする必要がある。そこで、新たに薄厚プラスチックシンチレータからなる透過型フルエンスモニタのプロトタイプを開発した。TIARAの中性子照射場において照射試験を行い、その性能を評価した。
田口 光正; 木村 敦; 広田 耕一; 倉島 俊; 須郷 由美
no journal, ,
高エネルギー重イオンは特異的な照射効果を引き起こすため、材料や生物分野において非常に強力なツールとして期待されている。パルスラジオリシス法、すなわち時間分解分光測定法は化学反応を直接観測する非常に強力な測定手段である。われわれは、昨年度までに重イオンパルスラジオリシスシステムの構築に成功した。サイクロトロンは通常15-20MHz程度で重イオンを加速している。ここで、サイクロトロンと同期をとらず、チョッパー単独でパルス形成を行うと、時間ジッターが100ナノ秒よりも大きくなる。今回、波形整形器によりAVFサイクロトロンと同期させることに成功した。これにより本システムの時間ジッターが10ナノ秒程度まで減少した。
田口 光正; 木村 敦; 広田 耕一; 大谷 仁巳*; 白石 不二雄*
no journal, ,
水中に酸化性あるいは還元性の強い反応活性種を均一に発生させることができる放射線照射により、内分泌かく乱化学物質などの微量環境汚染物質の分解処理が可能である。われわれは、急性毒性を有する有機塩素化合物の分解処理を目的として、塩素や芳香環などの基本骨格を有する2-クロロフェノール(2CP)を最初のターゲットとした。2CPを純水に溶解したものに線照射したところ、その濃度は指数関数的に減少した。低線量領域では、一次生成物として3-クロロカテコールやクロロハイドロキノンが生成したが、線量の増加に伴いそれらの濃度は減少した。8kGyの照射では、2CPや分解一次生成物はほとんど分解した。発光細菌を用いた生物学的評価では、2CP水溶液は、線照射前に弱い急性毒性を有していたが、線量の増加に伴い急性毒性は単調に増加した。この毒性は、2CPや分解一次生成物の濃度から予測される毒性の総和よりも大きかった。すなわち、線照射後の毒性はクロロフェノールや分解一次生成物のみ由来するのではなく、有機酸やアルデヒドを含めた照射生成物の相加・相乗効果によるものと考えられる。
中川 清子*; 太田 信昭*; 田口 光正; 広田 耕一
no journal, ,
窒素飽和したプロパノール中ヒドロキシマレイミド(HMI)に線照射した場合、溶媒分子のラジカルがHMIに付加した化合物やダイマーが生成することが知られている。そこで、この溶液に50あるいは100MeV Heイオンを照射し、LET効果について調べた。試料溶液への入射エネルギーはセルの上部にアルミ箔を置くことで任意に減衰させた。照射後の試料は液体クロマトグラフにより定性・定量分析を行った。空気飽和した場合と比べて窒素飽和条件ではHMIの見かけ上の分解率は35倍大きかった。これは溶存酸素が溶媒ラジカルのHMIへの付加反応を邪魔しているためと考えられる。また、重イオン照射した場合の分解収率は線照射したときに得られる分解収率よりも小さかった。
近藤 孝文*; Yang, J.*; 菅 晃一*; 法澤 公寛*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 倉島 俊; 広田 耕一
no journal, ,
高エネルギーの重イオンビームは物質特性の改善や遺伝子切断による品種改良,重粒子線がん治療などへ応用されている。しかし、重イオン照射の初期過程に関しては完全には理解されていない。われわれはこれまで、固体シンチレーターを用い、イオンビームがシンチレーターを透過したときの発光を分析光として活性種の光吸収を測定する方法を提案してきた。この方法は、分析光源とイオンビームが厳密に同一直線上に配置されるとともに、時間もきっちり同期されることから、時間空間的に高分解能のイオンパルスラジオリシスが実現できる。今回、波長領域・時間領域の拡張のために、CaF(Eu), CsI, NE-102の3種類のシンチレーターを用いた。これにより、これまでのCaF(Eu)と比べて、長波長側及び短波長側への拡張ができた。また、100MeV HeイオンをNE-102シンチレーターに照射し、Pチョッパーを高度に制御することで、準シングルパルスを作り出すことに成功した。これらにより、時間領域・波長領域の測定性能が大幅に拡張された。